一小での練習を終えると,監督やコーチたちは,三々五々レモンに集まります。
この界隈はまだ駅前と違って,こういったゆるいお店がぎりぎり残っているんだね。流行のスローでロハスなカフェなんかより,よっぽどスローなお店です。
今夜も選手の話題を肴に,熱~い言葉が交わされているのかな……!?


そりゃあ,本人たちが一番忸怩(じく)たる思いでしょう!

今日のAチームの荒んだ練習をなげく私に,西本ヘッドが放った言葉です。


西本「本人が一番きついと思うよ。家に帰れば,親にあーだこーだ言われ,練習に来ればコーチに気のない練習なら止めちまえっていわれる。ふり向いてほしい監督はつれないし(今日は事故対応で急きょ出勤),気持ちが空回りするから結果も出ない。そろそろ自我が芽生えだす六年生はプライドもあるだろうし,かなりきついと思いますよ」

たぶん西本ヘッドは,『高見の見物をきめてないで泥臭く選手の目線に立ちなさいよ』そう私に言っているんだろうね(う~む……そのとおりでもそれが難しいのです 汗)。
聞けば西本ヘッドは,Aに所属していたころ,そんな六年生を毎週相手にしていたとか。芝の片隅で彼ら相手に死ぬほどTバッティングをさせ,ストレス発散に付き合ったそうです。……とそんな話の際中も,スマフォ片手になんとか練習試合を入れようと画策する西本ヘッド。しかしなかなか相手チームはいい返事をくれません(泣)
今日のレモンは終始六年生のじくじくした話でした。
銅メダルを決めたCチームのコーチたちも親身に心配してくれました。

 

 

ひとつのことをずっと好きでいるってのは難しいことだよなあ。
監督は,君たちの頃に芽生えた〈好き〉を社会人になるまで持ち続けたんだね。すごい!!
今は野球が好きだけど,これから先ほかのものが好きになることだって当然あるよ。
そんな可能性しかない,細胞分裂真っ只中の君たちに,監督の教えはどう届いてんだろう。
願わくば,「これだっ!」てものが見つかったら……
人生の師に大接近する,そんな場面に遭遇したら……
あのグラウンドのニオイ,監督の言葉を思い出してほしいなあ。

 

そんなことを考えながらのレモンの帰り道,私の頭の中では忌野清志郎さんの「Boys」が鳴っているのでした。
それは,初めて挫折を味わった小僧に捧げるラブソング。Boysは生命力のカタマリだから悩んでみたって退屈するだけさ♪ と笑い飛ばすアップテンポな楽曲です。
練習に来なくなったあいつや六年生たちには,たぶんこんな明るさがふさわしいのかも。

いずれにしても学童野球の最後の季節。
思いっきり楽しんでほしいよ。