12345TOTAL
小平ドリームス000314
国分寺サンダース320005
ピッチャー:そら
キャッチャー:ひろと
2塁打:ひかる
3塁打:そら

朝グラントに着くと見事な水溜りたちが出迎えてくれました。
こんな状態で(野球)やるの?
用務員のおじちゃんがあきれています。
その言葉すごく真っ当でわかります。だけど……なんというか……水溜りを消さねばならないくらいおもしろいことが待っているから思わずやってしまいます。
山岸コーチ風に言えば,こいつらどうしようもないバカヤローなんです(笑)

 

水溜りという自然現象を一個一個無くしていくというわけのわからない行為。
選手とコーチたちにとってはすっかり手慣れたもの……となっております。

 

◆◆◆

 

今日は午後から小平ドリームスさんを迎えて,2試合練習試合を行いました。
テーマは(三日前の)府中三小タイガース戦の続き,すなわち
①初めて対戦するチームでも自分たちの野球をしっかりやる!
②試合の〈流れ〉が向こうに行ってしまったとき,いかにそれを取り戻すか――です。

監督「さっきまではイケイケ・ゴーゴーだったから何やってもうまくいったさ。うまくいかなくなったときに誰が止めるかだよ。そこでズルズルいかれちゃうのか,止められるのか。そこが勝てるか勝てないかの分かれ道なんだ。ゴウがエラーしたよな? エラーしたけどいいんだよ。結果的に塁がうまったんだろ? アウトを取りやすくなったって考え方を変えればいい。『ああエラーしちゃったよ』って落ち込むんじゃなくて『よし! これでゲッツーとれる!』とかさ,前向きに関わればいいんだ。だからくよくよすることでもなんでもない」

 

小平ドリーム戦(第一試合)総評――●神田コーチ

サインプレーとは?
だいち、バッターボックスでサインわかってないのにOK出した。ごう、1塁から2塁へ盗塁した。だいち、バットを振ってファールにした。ごう、「えっ?」と言いながら1塁へ戻ってきた。その打席、結局打ちにいってピッチャーゴロ→1E-3で1点入った。結果オーライ。
監督が前に言ってた、「俺が高校生の時、チームのやつがエンドランのサイン無視してホームランを打った。ダイヤモンドを一周して戻ってきたあと、そいつは監督にこっぴどく怒られた」。
野球はチームプレーだから、誰かが勝手なことして結果オーライじゃダメなんだ。監督は相手チームの守備の動きを見て、打者走者の能力を考えて、その時そのときで最善の策になるように、打者走者の考えが一つになるようにサインを出している。練習試合なら打者走者の技量を図るためにいろいろ試したいこともあるから、ときには「ほんとに?」的なサインがでることもある。だけど、サインを出してもらったなら、選手たちはどんなサインでも考えを一つにすることができる。サイン無視はチームのチャンスも、自分のチャンスもぶっ壊しだよ。

 

 

●小平ドリームス戦(第二試合)
  1 2 3 4 5 TOTAL
サンダース 0 1 0 0 5 6
小平ドリームス 0 1 5 0 0 6

 

ピッチャー:ごう
キャッチャー:ひろと
2塁打:だいすけ
 

小平ドリームス戦(第二試合)総評――●神田コーチ

魔のトライアングルゾーン
① 4・8・9 ここに落ちると、一般的にテキサスヒットと呼ばれるやつ。一応4・8間だったとして、だれが取りにいくんだったっけ? りくはこの練習した時はいなかったかもしれないな。まずは態勢がいちばんいいセンターが突っ込む。センターが取れなかったとき、だれがその後ろに回り込んでいるか、だな。
② 1・3・4 内野フライ。3人で声出した。まず1塁手が脱落、ベースについた。その次、ピッチャーと2塁手の一騎打ち。2人で「オッケー! オッケー!」声掛けながらどっちも引かない。最後は衝突しながら2塁手が取った。どっちも上向いてるから、お互いは見えないよ。こんなときはどっちが取るんだったっけ? りくはずっと2塁手やってきたから、このケースはどっちが取るべきか知ってたね。


3回裏、1塁手の何でもないショートからの捕球エラーで始まった守備。相手チームのビッグイニングの幕開けとなってしまった。おとといの試合のあとの反省会でゆうあが言ってた、「エラーしたとき流れが向こうに行ったのがわかった」。そのゆうあのことばは、みんなが共有したはずだったよね。それでもなってしまったんなら、流れを引き戻すためにどうするかだよね。
ピッチャーごうが「自分がなんとかしてやる」、って思い始めたよ。力んでワイルドピッチでランナー進塁。1・3・4トライアングルゾーンの内野フライは他の内野手がいても一歩も引かない。次打者のピッチャーフライにダイビングキャッチを試みるも、惜しくもグローブではじいてラインアウト、内野安打+テイクツー。気をつけなよ、桑田真澄はダイビングキャッチで野球人生をほぼ棒に振ったんだから。2年後には復活はしたけど。その時にけがした右腕をピッチャープレートにつけて・・・まさか、それを狙ってないよね。
そして内野手がマウンドに集まった。肝心な「どこでアウト取るんだ」を決めなかったなんて話もありますが、こんな状況どうすればいいかわかってきたかな? 意識の共有だよね。


ごうのピッチャーフライ、グローブではじいていますが、余裕のないプレー(普通ならボールまで届いてないだろう)の判断でエラーにはしません。内野安打。
一方、キャッチャーひろとのファールフライ落球、捕球体制でミットに入ったのに落球しているので、ファールですがエラーになります。
ひろとのファールフライ、ミットの下に右手をそえたままよそ見したように見えた。1塁の塁審をみたの? 捕球したら右手は上からかぶせるだよね。
監督「いまのは落球したお前が悪いの? キャッチャーミットを買ってくれないおやじがわるいの?」
ひろと「落とした自分が悪いです」
普通のキャッチャーミットは片手でも十分取れます。ひろとはとてもおりこうさんです。

 

つらいことは……まあつらいわな(笑)

監督「今日の試合(特に第一試合)でさ,雰囲気がどんどんよくなっていく瞬間があったよな? そういう野球をいかにするかだよ。あの瞬間ってのは,ある意味紙一重だったりする。例えば走塁であるとか。『行けるかな? 行けないかな?』という微妙なところを行ってみる。『結果オーライはよくない』と俺は常々言ってるけどさ,練習試合でそれをやっていかないと,公式戦で思い切ったプレーはできないわけじゃん? だから今『アウトかな? セーフかな?』のギリギリのところをやってみる。試すんだ! 試すことによって,どんどんレベルが上がっていくわけだからさ。『これは行っていい!』という判断はそうやって養われていくもんだよ。ああいう(雰囲気のよくなる)展開をさ,お前らの サンダースの 野球にしていかないとさ。していこうよ! ああいう雰囲気がいいでしょ?」

 

監督「今日みたいに声が出ればさ,つらい事でもさ……つらいことは……まあつらいよな(笑)。
つらい事も声を出せば!……やっぱつらいわな(笑)。
でも少しは和らがない? 声を出すことによってさ つらくても『よっしゃいくぞ!』みたいなことってない? ある? ない? また得意のシカト?」
選手たち (あるあるとうなずく)
監督少しはあるよな? 10の内だったら……」
そら「0.5くらい?」
監督「少なすぎるだろ! 3くらいは 声出すと『ヨッシャア!』ってなるでしょ? 絶対この先そういう事って出てくるからさ……今のうちに習得した方がいい。がんばってやろうよ。」

 

◆◆◆

 

以上,今日一日のおしまいの言葉です。
あまりにもさりげなかったので思いっきり文字に起こしてみました(写真をクリックすると映像が流れます)。
同じ風景を共有したものだけにしか届かない,種も仕掛けもない大人からのメッセージ。“水溜りを消さねばならないくらいおもしろいこと”ってこれなんだよなあ。


僕たちは暗く曇った空を晴らすことはできないけれど
雲が残していった水溜りを消すことはできるよ
水溜りを消したら そこでスリリングな野球をやるんだよ


これ以上に豊かで平和な行為を私はたぶん知らないかも……。